ブログ

妊婦健診の内容は、住んでいる場所で違うんですよ

副院長です。

なるべく毎月一回は何かみなさんのお役に立てられる情報を発信できれば良いとは思いつつ、これは!というテーマが定まりません。お伝えしたいことはたくさんあるんですけれど。

前回書いたインフルエンザワクチンの記事はとても大切な内容ですからぜひ復習しておいてください。

今回は妊婦健診について書こうと思います。

妊娠かも…と思ったら、多くの皆さんはまず妊娠検査薬を使い陽性反応が出た場合、ドキドキして産婦人科にいらっしゃることと思います。一般的にはこの時点でだいたい妊娠4〜6週くらいのことが多いですね。

 

この時点で正常な子宮での妊娠か、そうではないのかがある程度判断されます

その後、無事に心拍が確認され赤ちゃんがある程度しっかり発育が見られた場合(およそ妊娠8週くらいでしょうか)に母子手帳交付の手続きをしていただき、いよいよ妊婦健診が始まります。

さてこの母子手帳には妊婦健診の無料券が付いてきます。日本は世界的に見ても妊婦健診への助成は手厚いと思います。ただ、実はその助成される健診項目や時期、健診回数は母子手帳を発行する市町村ごとに少しずつ異なっているのです。

当院は金沢市のはしっこなので色々な市町村の妊婦さんが、各市町村の違う種類の母子手帳を持っていらっしゃいます。

ドキドキの第1回目の妊婦健診ですが、一般的には採血、がん検診、クラミジア感染症の検査を行い超音波による赤ちゃんの発育を観察します。

 

妊娠10週くらいの赤ちゃん

で、本題なんですがこの妊婦健診初回での採血項目で行うべきものとして産婦人科学会がガイドラインであげている項目は以下の通りです。

(A):(実施すること等が)強く勧められる  (B):(実施すること等が)勧められる (C):(実施すること等が)考慮される

この中で『トキソプラズマ抗体』という項目がありますね。このトキソプラズマに関しては色々お話があるのですが、ガイドライン上の推奨レベルは(C)に該当します。

ただ心配される患者さんも多く、当院にて以下のような説明を配布しています。

この用紙に書いてある通り、石川県では残念ながらトキソプラズマ抗体の検査は妊婦健診の助成項目には入っておらず、患者さんの自費負担となってしまいます。

一部の地域では助成される市町村もあるようですが、金沢市は少なくとも自費検査です。都会の方ではトキソプラズマ検査が公費助成されているところもあり、不公平感がありますね。

また、一番妊婦さんが胎動を自覚しにくく不安な時期である妊娠初期の妊婦健診の助成は4週間ごとなんですね。1ヶ月は長いですよね。ですから不安そうな方には「残念ながらただではないですが、映画を見るくらいの金額くらいで赤ちゃんが元気かどうかを見させていただきます。二週間後くらいにいらっしゃっていただいても良いですよ」とお声をかけています。

妊娠中期から妊娠後期にかけてはあまり市町村での違いはありません。強いて挙げれば、産道感染症の一つであるGBS(B群溶血性レンサ球菌)の検査時期が東京なんかだと少し早い時期に行われていますが、大きな問題ではないと思います。

ただ一つ、地域によって非常に問題がある違いがあります。それは予定日を過ぎてしまった場合の妊婦健診についてです。ここで厚生労働省HPでの一般的な妊婦健診スケジュールを見てみましょう。

妊娠36週〜出産までの間は基本的に11、12、13、14回までの無料券を使用しての妊婦健診になりますが、普通に健診にきていただいた場合、40週での健診で14回目の最終キップを使ってしまうことになります。

つまり、出産予定日を過ぎてしまった41週以降の場合の妊婦健診には一般的に助成がおりず、自費での健診となってしまうのです。

最近になってようやく様々な自治体で、予定日を過ぎた場合での妊婦健診に対して助成金が出るようになってきました。

僕は現在、内灘町に居を構えていまして自宅にはよく『議会だより』みたいな冊子が届けられます。つらつら見ていると、内灘町町議会議員の米田かずかさんという方が、予定日超過の妊婦健診に対しての公的な助成を議会で訴え、あっという間に内灘町在住の方々は予定日を過ぎても安心して妊婦健診が受けられるようになりました。

米田かずか議員HP

米田さんは看護師出身で、女性目線での様々な活動をされておられており、現在も若いお母さんたちへのきめ細かい公的サービスへの提案を積極的に行っておられます。道路拡充や公的施設を次々と作っている、いわゆるハコモノ行政と言われる無駄な投資を繰り返している地方自治体には辟易していたのですが、こういう提案がスッと住民に反映されるのならば政治も悪くないなーと思いましたよ。

 

内灘町HPより抜粋

残念ながら、住民が多いはずの金沢市、野々市市などは予定日を過ぎた妊婦さんの妊婦健診に対しての助成はありません。どうにかならんかなーと思い、ダメ元で米田さんに連絡致しましたらすぐに動いてくださいました(美人さんだから連絡をしたわけではないので、誤解しないでください)。返信をいただきましたので紹介します。

米田議員から頂いた返信(抜粋)

六月にご相談いただいた件ですが、今年度実施してくれた自治体が増え徐々に広がっています。

平成29年11月現在で未実施の自治体には、いしかわ若手議員の仲間に、それぞれの市町の12月定例議会で一般質問でとりあげてもらうよう現在最終調整中です。出産予定日をすぎた妊婦健診(15回以降)の助成が県内全域で実現できるように、また母子保健のさらなる向上にむけて全力で取り組んでいます。いい結果が報告できるといいのですが。

質問する予定の市町は金沢市、野々市市、かほく市、津幡町、輪島市、珠洲市、加賀市(1→3へ増)、羽咋市、穴水町・・・今後また増えるかもしれないです。

 

自治体ごとで異なる妊婦健診の内容が早く統一され、里帰り出産などで住民票が違う方でも、均一で標準化されたきめ細かい行政サービスが行われるようになれば良いですね。

妊婦健診は楽しみなようで不安もあり、みなさん色んな表情で外来にいらっしゃいます。エコーを見ていて何か分からない事があれば、なんでも聞いてください。後から写真を見直しても「これなんやったけ?」となる事が多いですので。妊婦健診に行くのが楽しみになるよう頑張ります。

 

 

 

 

ページトップへ戻る